業務フローを飾るコツ

BPMNのコツ

業務フローは作業(□)を矢印(→)でつないで流れを表すことが基本ですが、それだけだと見える化としては不十分です。書類やITシステムなどでフローを飾ることが大切です。飾れば業務への理解が深まるし、改善の検討にも役に立ちます。

では具体的に何を飾れば良いか、それを考える上で機能モデリング手法「IDEF0」のICOMという視点がとても有効だと思います。

ICOM : Input / Control / Output / Mechanism

下図はIDEF0を使って「顧客からの棚の要求に応えて棚を納めるまで」を描いたものです。
右下を見てください。「施工」という機能に対して、上下左右の4つの視点で見える化していることが確認できると思います。「上:コントロール」、「下:メカニズム」、「左:インプット」、「右:アウトプット」と決まっています。

さらに、設計と調達と施工という3つの機能にかかわる4つの視点を確認してください。設計士、棚など黒字のものは業務フローに描かれやすいものです。規格/基準、製図道具など赤字のものは業務フローではほとんど描かれることがないものです。
コントロールは描かれにくいということが確認できます。人を表すメカニズムは描かれやすいけど、設備や道具を表すメカニズムは描かれにくいということが確認できます。

コントロールとは、作業の指針や指示、作業の決め事など、作業をコントロールするものです。作業品質を確保する上で大切なものです。
例えば改善を考えてみると、調達機能において「業者別調達リストを作成し価格交渉に利用する」といった、コントロールの拡充が考えられます。

メカニズムは、作業に必要なリソース(人、設備や道具)を表します。リソース配分を見直したり、リソースのスキルや性能を向上させる施策を考えたりします。
例えば改善を考えてみると、CADや電動ノコギリなどを導入して作業の効率化を図るといった、メカニズムの高性能化が考えられます。
設備や道具を表すメカニズムでも、図の調達システムのようなIT関連は描かれやすいと思います。でも新たなIT活用を考えるとき、描かれにくいIT以外の設備や道具(社内便やExcelなど)を把握している必要があります。

業務フローを飾ってくださいと言うと、主に作業のインプットとアウトプットの視点で飾られます。確かにそれらは大切です。でも業務を深く知ろう、改善を検討しようと思うと、描かれにくいコントロールやメカニズムもとても有効だということです。

IDEF0の代わりにBPMNで描いてみたのが下図の業務フローです。
青丸(C)がコントロール、赤丸(M)がメカニズムです。コントロールとメカニズムは、データオブジェクト、データストア、拡張成果物はもちろんのこと、メッセージフローやレーンも使って描き加えていることが確認できると思います。
先ほど「描かれにくい」と言ったものをBPMNで描いてみると、赤線で囲んだ「企画/基準」、「製図道具」、「資材カタログ」、「ノコギリ/トンカチ」のようになります。

上図を見ながら、コントロールとメカニズムが業務への理解を深めたり改善を検討したりするときに役に立つ様子を思い浮かべてみてください。きっと具体的に思い浮かべてみたことが、今後業務フローを描くときの良いヒントになると思います。