【連載】業務フロー物語(3)書類やデータの流れを確認する

業務フロー物語

諸事情により本連載は中止となりました。

業務改善ワークショップの第2週は、書類やデータの流れを把握することを目的に進めていきます。
確認したいことは次の3つです。

  1. 各作業を始めるために必要な書類やデータは?
  2. 各作業の成果として出力する書類やデータは?
  3. どのような伝達手段で書類やデータをやり取りしているのか?

特に「3.」は、通常の業務フローではあまり書かれていない情報です。でもこの物語の主人公は、伝達の効率化がとても効果があることを知っています。人と人がやり取りする箇所では、必ず現状の伝達手段を確認して書くようにしています。

書類やデータの確認に先立ち、前回のヒアリングにもとに作成した業務フローのレビューから始めました。その結果は「修正すべき点はなし」、「良く表現できている」と好評でした。

この業務フローでは、書類やデータの流れを捉えるための事前準備をしています。
人と人のやり取りが発生する箇所には必ずメッセージフロー、データオブジェクト、またはデータストアのいずれかを配置しているのがポイントです。
また、それらに記載している「〇〇〇」には、書類やデータの伝達手段を記述しようとしています。
ヒアリングしながら追記・修正し、ワークショップの最後には完成していることを目指していきます。

まずは顧客とのやり取りを見ていきましょう。
顧客窓口の方は、次の情報をやり取りしていると思います。
 ・サポート依頼
 ・評価版ライセンス
 ・サポート対応結果報告
過不足はありませんか?
名称には問題はありませんか?
それぞれどのような手段でやり取りしていますか?

依頼者が評価版利用済の時に
 ・評価版利用不可通知
を顧客に送っています。
名称は業務フローの通りで良いと思います。
顧客とのやり取りは全てE-Mailで行っています。

営業の方は、以下の情報をやり取りしていると思います。
 ・サポート依頼提案
 ・サポート依頼提案検討結果
過不足はありませんか?
名称には問題はありませんか?
それぞれどのような手段でやり取りしていますか?

名称はそのままで良いと思いますが、契約の意思がない時には必ず
 ・サポート未対応通知
を送るようにしているので明記した方が良いと思います。
全てE-Mailでやり取りしています。

次に部門間のやり取りについて見ていきましょう
顧客窓口の方は、営業の方とは次の情報をやり取りしていると思います。
 ・サポート契約提案依頼
技術の方とは次の情報をやり取りしていると思います。
 ・サポート対応依頼
 ・不具合調査結果
 ・質問回答
過不足はありませんか?
名称には問題はありませんか?
それぞれどのような手段でやり取りしていますか?

特に過不足はありません。
名称は業務フローの通りで良いと思います。
全てE-Mailで行っています。

営業の方と技術の方とは、サポート契約が無事締結された時に
 ・サポート対応依頼
を伝えていると思います。
やはり、E-Mailを利用しているのでしょうか?
他にやり取りしている情報はありませんか?

E-Mailを利用しています。
他にやり取りはありません。

次に製品サポート依頼対応プロセスではない、他の業務プロセスとのやり取りをみていきましょう。
技術の方は不具合情報を不具合管理システムに登録されていると、先週伺いました。その情報を参照する業務プロセスがあると思いますが、いかがでしょうか?

不具合に対応するプロセスがあります。そのプロセスのことを「製品改良プロセス」と呼んでいます。

他に他の業務プロセスとのやり取りはありませんか?

特にないです。

他にはないですね。

製品改良プロセスだけですね。

最後に直接的なやり取りではない書類やデータをみていきます。台帳記入やITシステム登録など、他の人が後ほど利用するために記録する書類やデータを確認していきます。
顧客窓口の方に確認します。
依頼者がサポート契約中かどうかをどのように確認していますか?
依頼者が評価版利用済であることをどのように確認していますか?

サポート契約中の確認も評価版利用済の確認も顧客データベースを参照しています。
サポート契約情報は営業の方が登録しているのでそれを確認しています。
評価ライセンスを顧客に送った際には、必ず顧客データベースに評価版利用実績を登録しています。

技術の方は質問の回答を質問データベースに登録していると伺いましたが、登録した情報は誰がどのように利用するのでしょうか?

質問への回答者が利用するだけです。既出の質問ではないか質問データベースを確認し、既出の場合はその回答を利用しています。

本日のヒアリング内容は全て業務フローに反映しました。
特に過不足や誤りがないようでしたら、ワークショップを終了したいと思います。
ありがとうございました。

今回のワークショップでは次の4つの視点で書類やデータの流れを確認してきました。

  1. 社外の関係者とのやり取りを確認する
  2. 社内の部門間のやり取りを確認する
  3. 他の業務プロセスとのやり取りを確認する
  4. 直接的ではないやり取り(台帳やITシステムを利用したリアルタイムではないやり取り)を確認する

視点を切り換えながら確認することで、漏れなく確実に洗い出すことを狙っています。

書類とデータに着目し、人と人がどのような手段を用いて連携しているかを明らかにすることができました。これでハンドオフ(人と人のつながり)に関する主要な情報を一通り把握することができました。
次回のワークショップでは、可視化した業務プロセスをどのように変えるべきかを検討していきます。