「データ関連」と「関連」の違い

ISO19510

BPMN 2.0では「データ関連」と呼ばれる点線が増えました。BPMN 1.xでも「関連」と呼ばれる点線があったので、点線が2種類になりました。下図の左側がデータ関連、右側が関連です。

2種類の点線を比べてみて、データ関連には双方向の矢印が無いことにすぐに気付くと思いますが、それ以外の違いはわかり難いですよね。

実のところ、それ以外には見た目の違いがありません。あとは「使い方の違い」と「隠れた違い」があるだけです。

違いの話をさらに進める前に、もう1つ改訂内容を確認してください。

BPMN2.0では、データオブジェクトが「成果物(Artifacts)」と呼ばれる図形群ではなくなり、データストアという新たな図形が増えています。
成果物とは、業務フローに補足説明を加えるための図形のことです。つまり、データオブジェクトが単なる補足説明用の図形ではなくなったということです。
もう少しだけ具体的に説明すると、データオブジェクトが BPMNの狙い(2)で触れた実行可能モデルにおいて意味のある図形に変わったと言えます。BPMS(ビジネスプロセス管理システム)というITシステムが扱うデータについて記述するために、データオブジェクトの役割が変わり、データストアが新たに加わりました。

データ関連もBPMSが扱うデータについて記述するために新たに追加されたものです。データ関連と関連の使い方の違いとは次の通りとなります。

  • データ関連はデータオブジェクトとデータストアに使う
  • 関連は成果物(Artifacts)に使う

さらに、BPMSを動かすために業務フロー上では見えない属性情報を各図形に定義する、その定義に関してもデータ関連と関連では違いがあります。そのような隠れた違いについては、話が長くなるので、別の機会に詳しくお話したいと思います。

ここでクイズです。下の図の(1)~(3)の中には「関連」が1つだけあります。それはどれでしょうか?



答えは(3)です。(1)と(2)の点線はデータオブジェクトにつながっているので「データ関連」です。(3)は紙の折れ目が右下なのでデータオブジェクトではなく拡張成果物です。成果物につなぐ点線は「関連」となります。